3Dプリント二等輸送艦を作る(7) 艦橋
艦橋を作ります。
尾道の百島沖で重心公試中の第151号艦の写真だそうです。
これを参考にモデリングします。
入口が二つありますが、左側は船員用の厠、右側は中甲板に通じる通路で扉はありません。
艦橋の上にあるライトは、『二号事業灯』という聞きなれないものです。
旧軍の『一般計画要領書』を見ると、信号灯として二号事業灯が1個装備されていることになっていますが、図面では前後で2個あります。
こちらのサイトで『二号事業灯一型』の写真が出ていますが、まったく違う系統のものです。
艦橋上のこれは二号事業灯ではないのか、一型ではない別の型なのか、謎です。
前甲板と中甲板をつなぐ通路は開口で扉がないので、中を作っています。
入ってすぐ左に士官用の厠の扉があります。船員(Crew)と士官(Officer)とで厠すら違うという格差社会です。
101号型ではこの通路は真っすぐですが、103号型では中央にボイラーからの煙突が伸びているいるため通路が曲がっています。
艦橋内のナイロンの粉を抜くために床面は作っていないので、床は自分でプラ板などで塞ぐ必要があります。
車両止めの裏側にはハッチがあります。
最初の写真で車両止めの上に出ているのはこのハッチの蓋です。
艦橋横の25mm三連装機銃の前にデリックがあります。
このデリックを使って、車両止めの裏にあるハッチを通じで弾薬の補給をするという導線です。
このデリックは戦闘時には非常に邪魔になりそうですが、そこは考えられています。
使わないときは外して立てかけてあるようです。ディテイルアップでこのあたりを作ると通っぽいかもしれません。
その手前にあるのは、公試用のバラストです。これは作ってはいけません(笑)
艦橋の一番上は防空見張り所です。
戦闘艦ではここに測距儀なんかがあったりしますが、輸送艦なので双眼鏡しかありません。
写真は対空用の高角双眼望遠鏡です。
(こちらのサイトより引用させていただいております)
戦車の上に立つイケメンに目を奪われる写真ですが、ここはマストに注目。
図面に『RADAR』と書かれているアンテナが見えます。斜め45度に傾いているのが特徴的です。
これは『E-27電波探知機』のアンテナです。
図面でRADARと書かれていますが、レーダーではありません。
レーダーは電波を出して、その反射波をとらえるものですが、これは電波は出さず、敵が出す電波をとらえて、その方向を音で探る装置です。
テレビ番組で探偵が無線機で盗聴電波を探しているのをたまにやっていますが、あれです。
実際にこれを操作していた方のサイトで、「敵の電波の音を一度も聞いたことが無いので、敵のレーダー波か味方のレーダー波なのかを区別できる自信がない」と書かれていました。
同じ方の話で、米軍は電波によるIFF(敵味方識別装置)が開発されていましたが、日本には無いので、日本側から見ると電波を送って返事するのが敵、何も言わないのが友軍という状態で、それでいいんか(笑)という状態だったようです。
これは『波106潜水艦』の写真です。
E-27のアンテナが艦橋の上と側面4方向に装備されています。
そのほかにも謎なパラボラアンテナとかアンテナてんこ盛り。
なんかすごいですね。
次は艦橋裏側。
艦橋より前側はいい写真がありますが、後ろはほとんどありません。
参考になるのはこれくらいです。
マストの下には海水のタンクがあります。
下の階に厠がありますので、それ用の水かと思います。重力タンクですね。
上に水があれば、蛇口ひねるだけで水がでます。動力はいりません。
25mm機銃の台座をぐるっと取り囲んでいる箱は、全て機銃の弾薬です。
一回の戦闘で使える弾薬はこの箱にあるぶんだけ。撃ちつくしたら終わりです。
生き残れたらデリックを使って補充するのでしょう(たぶん)
階段はナイロンプリントの最小0.8mm制限ではさすがに苦しいので作っていませんが、導線がきちんと確保されているかは確認が必要なので線で描いています。
吾輩、模型ではありがちな「扉の前に物があって開かねぇだろ!」とかそういうのが気になって仕方がないたちなのです(^^;
ということで、艦橋のモデリング完了です。
25mm機銃はLt_goldman69さんの精密なアクリルプリントを取り付ければばっちりではありますが、三連装×2のほかに二連装×2も必要で、ちょっと高コストになってしまうので、どうするか考え中。