ゲームデザインとは
ゲームを作ることを考えてみます。
勇者が、武器を持ってモンスターを殴るゲームとしましょう。
武器の強さ(攻撃力)を設定しなければなりません。
あるゲームでは、これを「1d6」とか「2d10+6」とか設定します。
dはdice、サイコロのことです。
1d6は、1個の6面ダイスです。dの左側が個数、右側が面の数です。
2d10+6は、2個の10面ダイスの合計に6を足した数になります。
※10面ダイスなんてあるのか?と思われるかもしれませんが、なんと1面、2面ダイスから100面ダイスまであります。1面ダイスは無意味な物体ですが。
ポピュラーな6面ダイスについて考えてみます。
出る目の数は?
1~6が均等に出ます。
「2d6」ではどうでしょうか。
2から12がでますが、7の確率が一番高いピラミッド型の分布になります。
「3d6」ではどうでしょうか。
3から18が出ます。10.5を中心とした分布ですが、2個のときより中央に近い部分がより出やすい分布になっています。
一気にとんで「10d6」です。
このようにダイスを増やすと中心の値が出やすく、大きい数、小さい数が出にくい釣り鐘型の確率分になっていきます。これは「正規分布」と呼ばれるものです。
多くは中央値付近の値が出て、たまに、大成功な大きな数や、大失敗の小さな数が出るのはゲームとして面白いでしょう。
しかし、多くのコンピュータゲームではこのようにはなっていません。
「10±20%」とか設定します。
この場合、分布はダイス1個の場合と同じで、フラットです。
なぜ、そうなのかというと、プログラムでのランダムはフラットなので正規分布にするのは面倒なのです。
理由はそんな後ろ向きな理由だけではありません。
「3d6+5」と「2d10+5」とどっちがいい武器なんだ?と言われてもピンときませんね。この方式はプレイする人間にとってわかり難いのです。
内容がよくても、わかり難いものはプレイしてもらえません。
(※面倒くさいゲームばかり作ってるお前が言うか!って言われそうですが、一般論ですのでw)
などと、このようなことを考えるのがゲームデザインです。
こういうのは、ゲームの味付け、「フレーバー」と表現されたりします。
アイスクリームの、バニラ、ミント、抹茶、チョコなどの味です。味付についてばかり考えてもアイスクリームはできません。ゲーム作りも同じことです。
話をまとめると、ゲームデザインの要素は次の二つです。
・システム : ゲームの仕組み、ルールなど
・フレーバー: 世界設定、ストーリーなど
二つです。と書きましたが、実はそれは昔のことで、今は三つです。
あと一つは・・・「マネタイズ」です。
フリーミアム、基本無料ってやつ。基本無料で、どうやって開発費を稼ぐのかを考えなければなりません。それがマネタイズです。
そして、この「マネタイズ」がほんとくせ者なんです。
ゲームのシステム、フレーバーに対してガンガン制限を課してゲームデザインの自由度をガンガン削りとっていくのです。
「面白いけどどうやって稼ぐんだ?」という言葉の破壊力。
スマホは「同じようなゲームが多い」と思うのはこれが原因です。
それでも、発明な作品はあります。誰かが新しいものを作り出すでしょう。
願わくば、自分がそうなりたいものですが。