3Dプリント二等輸送艦を作る(3) モデリングの準備

3D CADソフトでモデリングを行うための資料を確認します。
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モデリングの元となる図面です。
戦後の米軍調査報告書『REPORTS OF THE U. S. NAVAL TECHNICAL MISSION TO JAPAN』の『Characteristics of Japanese Naval Vessels-Article 10, Landing  Craft』に記載さている図面です。
wikipediaにはこれをトリミングした画像がアップされております。
ネット上では、出所不明と書いている方が多いですが、公式の資料ですので、安心して資料として使用できます。

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103号型の図面は担当した人がちょっといい加減な性格だったのか、記入漏れがあります。
101号型の図面の方が詳しくかかれておりますので、わからない部分はこちらも参照します。

ネット上で、101号型の日本語で書かれた、これより詳しい図面も見つけたのですが、ロシア語のサイトであるため出所不明な上、残念ながら前半分しか見つけられなかったので利用しないことにしました。
海防艦の調べものをしたときにも思いましたが、日本艦艇の資料は日本よりロシア語のサイトの方がたくさん手にはいります。
向こうの方が好きな人が多いのか、単に日本の艦艇好き人のデジタル化が進んでいないのか、なんとなく後者な気がします。

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二等輸送艦は中央デッキにボートを積んでいる関係で、煙突の下まりがわかる写真がありません。(吾輩には見つけられませんでした。ご存知の方がいらっしゃいましたらお知らせいただけると助かります)
そのあたりは、ボイラー2基で二等輸送艦と同じ構成の(缶の種類が違いますが)一等輸送艦を参考にねつ造します。

基本的には、これらの図面と、ネット上で手に入る実艦の写真を参照してモデリングを行っていきます。
艦の装備品の確認に『一般計画要領書』も参照します。
書籍は、ネット上では見つからない写真が数点掲載されている『写真日本の軍艦13巻』(株式会社光人社刊 1990年)を参照します。
雑誌『丸』にも他では見たことがない写真がありますが、残念ながら古すぎてヤフオクでも入手できません。
ネット上では詳しいと評判だった二等輸送艦が表紙の某書籍は、ちょっと調べただけの素人な吾輩でもわかる間違いが多数あったので参考にしません。

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モデリングは無料3D CADソフト『DesignSpark Mechanical』を用いて行います。
ソフトも資料も無料ですので、家にPCさえあれば誰でも楽しめる遊びです。
場所をとりませんし、部屋も汚れません。嫁に怒られないのがすばらしい(笑)

モデリングを開始するにあたって、まずは上述の図面をCAD上で配置します。
XY平面、YZ平面に図面を読み込んで貼り付けるだけで、船の形が見えてきてテンションがあがります。
これをトレースして作図していきますが、読み込んだ図面は、作図するのとは違うレイヤーに配置しておきましょう。
そうすれば、図が邪魔になるときに一発で表示のON/OFFができます。
(画面左側の「レイヤ」のところの電球マークのクリックでON/OFF)

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映像としての艦を作るだけなら気にする必要はありませんが、プリントするなら物理的な制約も確認しておく必要があります。
上の図はDMMでのナイロンによる3Dプリントの制約を抜粋したものです。

基本的には、壁や柱などは0.8mm以上でないと形を維持することができません。
モールドとして0.2mmの形状を作ることができます。
モールドと壁や柱の違いは幅に対して長さが5倍あるかないかで判断されるようです。

一番忘れてはいけないのは、閉じた空っぽの内側は作れないということ。
必ず、ナイロンの粉を排出する穴が必要になります。
制約は更新されることもあるかと思いますので、実際の制約はDMMのサイトで確認する必要があります。

前ふりで3回も使ってしまいましたが(^^; 次回から実際のモデリングになります。